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京都教育大学名誉教授、法学博士

土居 靖美 氏

<略歴>
大正14年生まれ。
京都大学卒、法学博士。
京都教育大学名誉教授。
現在は日本法政学会名誉理事をつとめる傍ら、若手育成に尽力している。
<編集部注>
今回は土居博士らを中心に関西をホームグラウンドとして学術研究を行っている関西憲法研究会による国際学術交流をご紹介いただきました。
 日韓学術交流の架け橋  2007.12.05

 
 文化、経済、スポーツ等と各界における日韓(韓日)の友好関係が一層深まりつつあることは喜ばしいことである。とくに、以下紹介することは、我々の研究会(関西憲法研究会)と韓国の成均館大学との間における共同研究会を毎年日本ならびに韓国において相互に開催し、かなりの成果を得るとともに両国間における友好関係をより深めているという朗報を提示したいと考え、筆を執った次第である。

 まず、関西憲法研究会についてであるが、かつて存続していた京都大学憲法研究会が主催者大石義雄京大名誉教授の逝去にともない閉会となった後、一部の有志によって憲法研究会を再開すべく、平成6年に新規な形で小森義峯教授(元国士舘大学大学院教授)を中心に私事土居との間で相談がまとまり、小森教授の配慮によって阿部照哉教授(京都大学名誉教授)、故榎原猛教授(大阪大学名誉教授)、吉川智教授(現近大姫路大学教授・副学長)、抱喜久雄(京都薬科大学准教授)、富永健(皇學館大学教授)等の力添えの下に平成6年に結成され、こんにちに至っている。会員総数は50名に達する研究会である。発会当時の会長は小森教授であった。現在は伊藤公一教授(大阪大学名誉教授)を会長として定例3月、6月、9月、12月に研究会を開催し、充実した憲法研究並びに比較法研究に関する熱心な議論が続けられている。

 さて、当研究会は、平成17年より日韓(韓日)合同研究会を開催した(第一回目の会場は韓国成均館大学)。その翌年は京大会館で開催され、今年は再度韓国成均館大学で開催された。こうした試みは、両国の学術研究の交流をより一層深めるとともに、相互の比較研究の立場からより学問の真髄を究め、相互の学術的友好と親交を更に深めるということが狙いであった。因みに、平成18年の研究会では「韓国及び日本における家庭に関する法的諸問題」という共通テーマの下に相互の研究者が報告し、比較法的に、韓国の家族に関する法制度と日本の家族に関する法制度の問題点をそれぞれ提示し、質疑応答によって双方の研究を相互に深め、過大なる成果を身をもって体得した。


 参考のため、以下、平成18年8月24日当時の式次第をご覧いただく。

10:00〜10:15 開会式
開式司会: 吉川 智(関西憲法研究会理事・国士舘大学教授)
開会挨拶:伊藤 公一(関西憲法研究会会長・大阪大学名誉教授)
両国代表挨拶:
阿部 照哉(関西憲法研究会顧問・京都大学名誉教授)
金 炯盛(韓國憲法學會會長・米國憲法學會理事長・大韓民國學術院會員・成均館大學校法科大學教授)

10:15〜11:45 学術報告(第1部)
総合司会:野畑 健太郎(関西憲法研究会理事・白鴎大学法科大学院教授)
通訳:金 泰勲(立命館大学大学院生)
通訳:梁 邵英(九州大学大学院)
1.憲法の視座から
憲法担当司会:吉川 仁(関西憲法研究会理事・中京大学教授)
10:15〜10:50
「憲法上の婚姻と家族の保護」
金 炯盛(韓國憲法學會會長・米國憲法學會理事長・大韓民國學術院會員・成均館大學校法科大學教授)
10:50〜11:25
「『家族を形成する自由』について」
抱 喜久雄(関西憲法研究会常務理事・京都薬科大学准教授)
11:25〜11:45 質疑応答
11:45〜13:00 昼 食
13:00〜16:30 学術報告(第2部)
総合司会:野畑 健太郎(関西憲法研究会理事・白鴎大学法科大学院教授)
通訳:金 泰勲(立命館大学大学院生)
通訳:梁 邵英(九州大学大学院)
2.民法の視座から
民法担当司会:和田 隆夫(関西憲法研究会監事・大阪体育大学教授)
13:00〜13:35
「韓国憲法上の家族政策理念と戸主制度の廃止」
鄭 相鉉(成均館大學校法科大學副教授)
13:35〜14:10
「日本におけるステップファミリーの法規制」
早野 俊明(関西憲法研究会会員・白鴎大学法科大学院教授)
14:10〜14:30 質疑応答
14:30〜14:50 コーヒーブレイク
3.その他の法の視座から
その他の法担当司会:長谷川 史明(関西憲法研究会会員・志學館大学教授)
14:50〜15:25
「人間胚芽複製の法的問題点と対応」
(成均館大學校法科大學教授)
15:25〜16:00
「国家の家庭への介入」
福岡 久美子(同志社女子大学准教授)
16:00〜16:30 包括的質疑応答
16:30〜16:40 閉会式
閉会の辞「謝辞」
小森 義峯(関西憲法研究会顧問・国士舘大学大学院元教授・憲法学者)
18:00〜20:30 歓迎夕食会

 各報告者独自の研究の成果報告は未知の学問的領域にメスを入れ、関連する知識を会得し、相互の成果を得たものとして確言しうる。

筆者注:これらの内容については『憲法論叢』13号を参照して戴きたい。

 研究は一国内にとどまらず比較研究によって、更に、自らの研究内容を広域化し、高度化することは研究方法の常道である。このことが国の学問的水準の向上にも資することはいうまでもない。今回の日韓(韓日)共同学術研究会が成功裡に終わったのも陰において汗された近代姫路大学副学長吉川智教授の尽力なくしては到底できえなかったであろう。こうした相互教員の親交を深めるともに両国間の友好にも資しえたことは、在野の分野での朗報的事実として紹介したいと考えた次第である。

 過去の両国の関係において、私としては日本として謝罪すべき事柄を痛感するが、そのことの反省に立って、今世紀においては、真摯な心構えをもって韓国を十分に理解し、更なる友好を深め、政治、経済、文化、学術、社会生活一般等あらゆる面において相互の協力強調と交流を図ることに大いなる希望と期待をもっているのである。この意味で、今回我々が船出した日韓(韓日)共同の学問研究は、少なくとも、上記の目標の一助になればと今後について胸を膨らましている。


 
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