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プロフェール
第3回:北朝鮮ミサイルは何を意味するか 2006.07.07 過去掲載分
 

 北朝鮮がついにやってくれた。弾道ミサイルを華々しく連発したのだ。
この稿を書いている時点では、以後の展開は不透明だが、日本人にとっては、拉致事件とあわせ、
いかに危険な隣国がすぐ近くに存在していたか、改めて認識させる機会となった。

 さすがに、これだけのことをやられたのだから、政府の対応は素早かった。
1発目の発射から7時間後には、持ち回り閣議で万景峰号の寄港半年間禁止などの経済制裁措置を打ち出した。
国連安保理に非難決議を提出、国際社会レベルで北朝鮮を非難する態勢をつくりあげた。

 いうまでもないが北朝鮮は金正日総書記を「神格化」する軍事独裁共産国家である。
自由、民主主義、人権、市場経済などの価値観を追求する日本や欧米などとはまったく異質の国家体制を持つ。
われわれはまず、その価値観という点で、政治的、道徳的、倫理的に、あるいは人間の生き方として「優位」に立つという基本スタンスを想起すべきである。

 だが、北朝鮮も国連加盟国であって、国際社会の一員としては対等な国家として対していかなくてはならない。
そこがなんとも悩ましいところである。
最も必要なことは、あらゆる手段を通じて、国際社会の常識が通用する国であれ、と求め続けることだろう。
どういう国家体制を選択するかは、その国の国民が決めることであって、他国が容喙するものではない。

 以上を踏まえて、今回のミサイル連発という事態をどうとらえるべきか。
金正日総書記が国際社会の非難を承知でなぜ「愚挙」と見られる行動に出たか、そこを冷静に見極める必要がある。

 アメリカによる金融制裁によって困窮し、アメリカを対話の場に引き出そうという狙いが指摘されている。
あるいは、ミサイルの精度を実証することによって、販売先を確保し外貨を稼ぐ、という「商売」上の理由をあげる向きもある。

 クリントン民主党政権時代のアメリカは、北朝鮮との融和策を採用した。
カーター訪朝によってKEDOの枠組みをつくったが、案の定、破綻した。
ブッシュ政権は「米朝対話」の誘いに乗るようなことはしないだろう。
われわれはアメリカが共和党政権であることに、改めて思いをはせる必要がある。

 日本政府としては、経済制裁のレベルを上げていく選択肢はある。
送金停止、貿易規制といった策である。
だが、それ以上の武力行使に踏み切るような選択はハナから考えられていない。

 日本を狙ってミサイルがまさに撃ち込まれようとしているとき、その発射基地を攻撃するのは、個別的自衛権の範囲内として現憲法下でも可能、というのが政府見解だ。
だが、F15戦闘機には対地攻撃能力は備えられていない。
専守防衛の行き過ぎによる過剰規制がまかり通ってきたツケに直面している。
攻撃が最大の防御であったはずなのだ。

 テポドンがアメリカを狙ったことがはっきりすれば、アメリカには報復攻撃の権利が生ずることになる。
北朝鮮に対する限定的空爆といった可能性がゼロではないことも見据えるべきだ。

 そういう事態になれば、北朝鮮は在日米軍基地への報復攻撃を加えるだろう。
日本全土をほぼ射程に入れたノドンを大量に保有しているのだ。
戦後初めて、日本人は「そのとき」への覚悟が求められる局面を迎えるかもしれない。
平和ボケ日本に国際政治の冷徹な論理が通用するかどうか、試されることになる。

 
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