第24回:
政局の攻防戦をどう見るか
2008.04.07
国政は機能不全状態といっていいのではないか。ガソリンの値下げが大問題となり、日銀総裁が空白という異例の事態ともなった。福田内閣の支持率は下がる一方で、産経・FNN調査(4月2−3日)では、ついに23・8%にまで落ち込んだ。
30%割れが黄信号とされてきたことからすると、この水準は危険水域といっていい。20%割れなどということになれば、いよいよ騒がしいことになる。
それにしても、昨年の参院選の結果、生じた「衆参ねじれ」がこれほど深刻な状況をもたらすとは、想定の域を超えるのではないか。憲法では衆院の優位規定があるのだが、民主党は徹底して「政略」がらみで扱ってきた。ここまでくると、憲法改正の重要な視点として、衆院優位の抜本的な確立、あるいは参院廃止で一院制に、といった課題がテーマとなっていくだろう。
どうやら、憲法制定過程で、衆院と参院の勢力が逆転しているという状況をあまり考慮しなかったのではないかとすら思える。この点は専門学者の論究に待ちたいが、少なくも、「衆参ねじれ」対応ルールが確立していないことは確かだ。
これは、政権を奪取するとしている民主党にとっても、その悲願達成後、困ることになる可能性があることを想起してもらわないといけない。衆参両院で勢力逆転が生じたら、国政が動かないというのでは国家の損失である。日銀総裁が決まらないというのは「世界の恥」ともなった。
アメリカでは大統領は共和党、上下院は民主党優位にある。日本と似た「ねじれ」が生じているのだが、日本政治のようなことはない。大統領権限が強大であることと、党議拘束が日本ほど厳格ではなく、議員個人の判断で法案への賛否を下すクロスボーティングが日常化しているためだ。
このあたりを研究して、「ねじれルール」を確立しないと、これから先の日本政治は成熟しない。政権交代可能な2大政党時代が現出するならば、これは政党政治と議会制民主主義を踏まえて、望ましいことであるはずなのだ。
そこで、目下、展開されている与野党攻防の実態はどういうものであるのか。一般には民主党が押しまくっていて、福田政権側が立ち往生しているように映っているのではないか。
これが、永田町の玄人の目からすると、まったく異なる様相が見えてくる。民主党は小沢一郎代表の党内求心力ががた落ちで、与党側との調整ができない状況に追い込まれているのである。昨年10−11月の大連立騒動以後、小沢氏のパワーダウンは著しいものがあるらしい。
組織というのは内部に問題を抱えると、外に向かって強硬な態度を取る習性がある。政党も同じだ。与党側と妥協、調整工作に応じると、党内の反小沢勢力に火をつけてしまう。小沢氏としては、強気一点張りで出ざるを得ないのだ。
日銀総裁人事にしても、当初、小沢氏は武藤敏郎副総裁の昇格でかまわないという態度だったとされる。それが「財政金融分離」を声高に叫ぶ党内を制しきれず、周知のような推移となった。
一事が万事、民主党の対応はすべてがそうした角度から見ると、解析できるように思える。ガソリン値下げに狂奔したのも、地球環境保護、地方財政維持といった観点も加味すれば、いかにも無理があった。それを「庶民はガソリン値下げを歓迎する」という主張だけで突き進んでしまった。利用者にしてみれば安いほうがいいのは当然なのだが、そこにポピュリズム(大衆迎合)のニオイがにじんでくる。
となると、一連の与野党攻防は民主党が勝っていると見ていいのかどうか。前述の産経・FNN調査では、政党支持率が興味深い。自民27・4%、民主24・9%である。ほかの世論調査でも同様の結果が出ている。民主党は威勢がいいように見えるが、支持率は急上昇ということにはなっていないのだ。
そのあたり、国民はみるところはきちんと見ている、といっていいかもしれない。民主党にしてみれば、早期解散を要求してはいるが、本当に解散、総選挙となった場合、政権奪取の成算があるのかどうか、ということになる。
与党の側には、福田首相がバンザイしたときには、自民党総裁選をやるというウルトラCがある。実は民主党はこれを最も嫌がっている。仮に総裁選となれば、麻生太郎、与謝野馨、小池百合子・・・といった国民的人気のある顔ぶれがずらっと出てくる。小泉純一郎再登板という奥の手もある。
国民の関心を引くのは間違いない。民主党は9月に代表選挙を控えているが、自民党総裁選と重なったりしたら目も当てられない。
この政局の実態は、多角的に冷静な目で見ていく必要がある。表面的な動きだけに追われると、政局展望を見誤ることになりそうだ。
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