先月人形町サロンに掲載した「痴漢容疑で逮捕され」に対し、数々の暖かいメールを頂戴した。その中の一つに、「埼玉県の公安委員会に苦情を申し出てはいかがか」とのご助言があった。早速ネットで調べ、メールで苦情を申し出たところ、当局の担当者から筆者に電話がかかり、「書面で提出して下されば早速調査する」旨の連絡があり、懇切丁寧に手続きの仕方を教えていただいた。そこで再度公安委員会のHPに立ち寄り、手続き方法に従い、今月1日、苦情申出をした次第である。今回はそのことをご報告したい。というのも、大宮署の体質を鑑みるに、今後も同じような過ちを犯す可能性を否定できない。よって、苦情申出制度の活用法を習得しておくことも、読者諸兄にとって無益ではあるまいと考えたからである。
最初に手続きについて言及する。警察法79条により、警察職員の職務執行に苦情がある者は公安委員会に文書により苦情申出が出来ることになっている。申出の受付は警察本部総務部総務課公安委員会室又は警察署刑務課で行うことになっている。筆者は前者に対し申し出た。というのも、大宮署に申出したら、刑事諸君がどのような対応をとるか、容易に想像が出来るからである。
次に文書の様式である。文書の様式は特に定まっていないようであるが、最低以下の事項を記載し、署名又は捺印をする必要がある。
1)申出者の氏名、住所、電話番号。
2)申出者が住所以外の連絡先への処理の結果の通知を求める場合には、当該連絡先の名称、住所及び電話番号。
3)苦情申出の原因たる職務執行の日時及び場所、当該職務執行に係る警察職員の執務の態様その他の事案の概要。
4)苦情申出の原因たる職務執行により申出者が受けた具体的な不利益の内容又は当該職務執行に係る警察職員の執務の態様に対する不満の内容。
http://www.police.pref.saitama.lg.jp/kouaniinkai/ より。
これらを参考に、筆者は概ね以下のような苦情申出をした。
苦情申出
申出者(以下私と記す)は平成19年8月20日、埼玉県迷惑行為防止条例違反容疑で現行犯逮捕され、同月31日まで大宮署に勾留されておりました。その間の体験及び、釈放後に知り得た事で、以下の通り苦情申出いたします。なお、事件に関する私の手記が人形町サロンというHPに掲載してありますので、参照していただければ幸甚に存じます。http://www.japancm.com/sekitei/note/2007/note36.html
1.逮捕当夜のことです。私を取り調べした刑事達は予断をもって、最初から私を痴漢犯だと断定しておりました。中には、「手の甲で触っても痴漢は痴漢だぞ!」、「言ってろよ、言ってろよ、そんなこと(否認)言っていると1年でも2年でもここにいることになるぞ!」と相当威圧的な態度で私に接する刑事も居ました(その刑事の顔は覚えていますが名前は不知;狐顔の男です)。これが予断の証左であると同時に、犯罪捜査規範2条2項、及び4条2項、並びに12条違反だと考えます。なお、当夜、竜川係長も同席しておりましたが、威圧的な刑事に注意をすることはありませんでした。これにより、私は精神的なダメージを受けました。
<筆者注>
犯罪捜査規範2条2項
捜査を行うに当たっては、個人の基本的人権を尊重し、かつ、公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。
犯罪捜査規範4条2項
捜査を行うに当たっては、先入観にとらわれず、根拠に基づかない推測を排除し、被疑者その他の関係者の供述を過信することなく、基礎的捜査を徹底し、物的証拠を始めとするあらゆる証拠の発見収集に努めるとともに、鑑識施設及び資料を十分に活用して、捜査を合理的に進めるようにしなければならない。
犯罪捜査規範12条
警察官は、捜査専従員であると否とを問わず、常に捜査関係法令の研究および捜査に関する知識技能の習得に努め、捜査方法の工夫改善に意を用いなければならない。
2.釈放後、私が熊谷課長に聞いた話では、逮捕当夜、逮捕に協力した若い男性の身元確認をしていなかったそうです。いわゆる「オヤジ狩り」が社会問題視されている昨今において、被害者とされる女子高生と「協力者」とされる男性との関係を調査するのは常識であろうと存じますが、これを怠った大宮署は犯罪捜査規範129条1項の精神を鑑みて由々しき問題だと存じます。これにより、私は「協力者」とされる男性と女子高生の共犯性を合理的に思慮する機会を奪われました。
<筆者注>
犯罪捜査規範129条1項
警察官は、刑訴法第二百十四条 の規定により現行犯人を引き渡す者があるときは、直ちにこれを受け取り、逮捕者の氏名、住所および逮捕の事由を聞き取らなければならない。
*筆者が被害者とされる女子高生に声をかけられ目が覚めた時刻が21:31。その時の埼京線内はガラガラであったが、「協力者」とされる若い茶髪の男性は間近にいた。彼は筆者の腕をつかんだわけであるが、この一連の言動が「偶然」か否かは、調査をしなくてはわからないはずである。
3.私の主観では、逮捕当夜、大宮署は最初から私を痴漢犯だと決めつけていたため、女子高生からの事情聴取が杜撰であったと考えています。というのも、女子高生は8月29日、検事に証拠とされる写真を撮影したときの私はシャッター音に気づいていない様子であった旨、供述しています。第三者が撮影したならばともかく、被害者本人が間近で撮影し、その音もしているのに、それに気づかない間抜けな痴漢がいるわけがないと存じます。私はその時寝ていたので気づかなかったのですが、痴漢に過失はあり得ないのであれば、この供述をもって犯罪成立を疑問視すべきだと存じます。にもかかわらず、刑事達は私を詰責したのであるから、予断に満ちていたので事情聴取が杜撰であったとしか思えません。杜撰な捜査が事実であれば、これにより私は即日釈放される機会を逸したものと存じます。即日釈放がなされていれば、痴漢容疑を実名報道されるという社会的信用が失墜する事態も回避できたものと存じます。
<筆者注>
筆者が大宮署に到着したのが22:12。到着後まもなく筆者は詰責されている。つまり、筆者は女子高生からの事情聴取が終わっていない時点から、痴漢犯であると断定されているのである。
4.逮捕当夜、私は手に女子高生がはいていたズボンの繊維が付着していたか否かの検査をされていません。これは犯罪捜査規範4条1項違反だと存じます。これにより、私の無実性、若しくは無罪性の立証が遅れました。
<筆者注>
犯罪捜査規範4条1項
捜査を行うに当たっては、証拠によって事案を明らかにしなければならない。
5.逮捕当夜、私はその日の行動を刑事に供述し、新宿で一緒だった人物の名前と職業も正直に供述しました。私を取り調べた刑事(例の狐顔)は「その人に話を聞くからな」と述べていましたが、翌日以降、何度も同じ質問をされ不思議に思っておりましたところ、当日の行動の裏取りは8月29日になってもされていない事実が判明しました。これは職務怠慢であり、犯罪捜査規範173条違反だと存じます。
<筆者注>
犯罪捜査規範173条
取調べにより被疑者の供述があつたときは、その供述が被疑者に不利な供述であると有利な供述であるとを問わず、直ちにその供述の真実性を明らかにするための捜査を行い、物的証拠、情況証拠その他必要な証拠資料を収集するようにしなければならない。
6.8月21日午前中の刑事調べのとき、担当の酒田刑事はタバコに火を付け、私を睨みながら「なんであんなことをやったんだ」と述べました。私が否認すると、感情を露わにし、太ももを叩きながら「そんなことは通用しない!」と言いました。そうしたやりとりが続きましたが、刑事からは一切証拠を提示されていません。女子高生の言い分も聞かされていません。「そんなのは通用しない」、「よく思い出せ」を多発しておりました。これは犯罪捜査規範166条及び167条2項違反だと存じます。これにより、私は精神的ダメージを受けたと同時に、健全な国民による警察官への信頼性を棄損せしめたものと存じます。
<筆者注>
犯罪捜査規範166条
取調べに当たっては、予断を排し、被疑者その他関係者の供述、弁解等の内容のみにとらわれることなく、あくまで真実の発見を目標として行わなければならない。
犯罪捜査規範167条2項
取調べに当たっては、冷静を保ち、感情にはしることなく、被疑者の利益となるべき事情をも明らかにするように努めなければならない。
7.8月29日、担当刑事が竜川係長に代わりましたが、竜川係長は「自己の意思に反して供述する必要がない旨の告知」をしていません。これは犯罪捜査規範169条2項違反だと存じます。
<筆者注>
犯罪捜査規範169条1項
被疑者の取調べを行うに当たっては、あらかじめ、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない。
同条2項
前項の告知は、取調べが相当期間中断した後再びこれを開始する場合又は取調べ警察官が交代した場合には、改めて行わなければならない。
8.同日、竜川係長は私に「恋人はいるのか」、「女に興味はあるよな」、「セックスがしたいともおもっているな」という質問をしました。私はこれによって羞恥させられました。また、語調を強くし、「これだけははっきり言っておくぞ、中には被害者面して男をハメようとする女もいるけど、あの女はお前を陥れようとするようなズベじゃねえぞ!」と述べました。これららは犯罪捜査規範2条2項違反であると同時に、地方公務員法33条違反だと存じます。7・8については、竜川係長の後ろに若い男が立ち会っていたので、その男が証人になってくれるはずです。
なお、熊谷課長の話では、性犯罪の場合、竜川係長が行った質問を誰にでもするとの由です。ですが、竜川係長以外からそのような質問をされた覚えはありません。つまり、熊谷課長が嘘を言っているか、竜川係長以外の刑事に問題があるのかのいずれかです。調査願います。同時に、これら質問の意義をお聞かせ下さい。
<筆者注>
犯罪捜査規範2条2項
捜査を行うに当たっては、個人の基本的人権を尊重し、かつ、公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。
地方公務員法33条
職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
最後に、私は大宮署に伺う際、逮捕されている事実を告げられておりません。任意で事情を話すのだと思い、大宮署に伺いました。熊谷課長の話では、常人逮捕の場合、逮捕を告げない場合もあるとの由です。これで本当によいのでしょうか。お尋ねいたします。
平成19年10月1日
野村高将
以上が申出した苦情の内容である。法律に疎い筆者のことである。この苦情申出には頓珍漢なことも書いてあるかもしれないが、そこはプロである公安委員会職員が申出者の心情を慮ってうまく処理してくださるものと信じている。ご多忙であろうが、早急に調査結果が出されることを、本書をもってお願い申し上げる次第である。
最後に、今回の件をブログなどで取りあげてくださった方も多数おられたので、御礼の意味を込めて、それらブログを列記する。本当にありがとうございました。
「平太郎独白録」http://heitaroh.exblog.jp/
「小坂英二の考察・雑感」http://kosakaeiji.seesaa.net/
「そもそも どーなの?」http://somosomo.cocolog-nifty.com/blog/
「斎藤吉久メルマガ」http://www.melma.com/backnumber_158883_3849386/