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学校ごとの成績を公開せよ −43年振りの学力テストをめぐって− 
                                                 2008.05.08   
大野城市議会議員 いるかが 卓徳氏

<略歴>
昭和35年大野城市に生まれる。中村学園大学卒業、日本再生ネットワーク事務局長、北朝鮮に拉致された日本人を救出する福岡の会・代表補佐。
<編集部注>
今回は九州でご活躍なさっている、いかるが先生に寄稿いただきました。いかるが先生のブログはhttp://nippon7777.exblog.jp/ です。皆さん、どうぞお立ち寄りください。

 43年ぶりの全国学力調査が、小学6年と中学3年を対象に、2007年4月24日実施された。愛知県犬山市教育委員会を除くすべての公立学校と国立学校で、約233万人が参加し、私立学校は6割超の参加となった。

 テスト結果の公表については、市町村の教育委員会の判断により対応はバラバラであったが、学校ごとの成績を公開したのは全国で一つの市だけであり、他の教育委員会は、文科省の指導を隠れ蓑に順位などを公開しなかった。また、情報公開請求をしても開示しないのがほとんどだと聞き及んでいる。

 その理由は、「学校間の競争や序列化につながってはいけないから」だそうだが、なぜ「学校間の競争や序列化」がいけないのだろうか。

 実は、韓国でも「学校間の競争や序列化につながってはいけないから」と同じ事を言っている団体がある。韓国では、2008年3月6日に韓国全土で中学1年生を対象に学力診断評価テストが一斉に実施されたが、報道によると、「全国教職員労働組合と市民団体らは、今日実施された中学校新入生全国一斉考査は、学校と学生の序列化をさらに高め、個人負担教育費を加重させると訴えた」とのこと(innolife.net 2008/3/6)。また、「成績公開は学生たちに精神的な衝撃を与える事が懸念される」とも言っているそうだ(同)。

 では、この韓国の「全国教職員労働組合」はどんな団体かというと、2006年12月の朝鮮日報の社説ではこう言っている。

 全教組所属教師は、教育現場で生徒たちに親北朝鮮・反米思想を注入することに全力を尽くしてきた。全教組には、生徒たちに兵役や国旗への敬礼を拒否すべきだと教える教師や、北朝鮮が『自主の天国』だとし、中学生を洗脳する教師もいる。

 中略

 全教組の資料集は金日成(キム・イルソン)の抗日闘争を美化し、韓国戦争(朝鮮戦争)を祖国解放戦争として描写し、金正日(キム・ジョンイル)の先軍政治を称賛する内容で満ちている。

 この様な団体と、日本の教育関係者が同じ事を言って成績を公開しないことは、何らかのつながりあるとしか思えないし、この「学校間の競争や序列化につながってはいけないから」という言葉を聞くたびに、結局、子供を理由にしながら、教師が公表を恐れているのではないかと疑うのは私だけではないだろう。

 なぜ教師間では競争や差が付いてはいけないのか。

 競争がいけないのなら、「切磋琢磨」という言葉に置き換えて、教師は現状を把握し、指導の改善に役立てればいいだけだし、成績が悪ければ、成績のいい自治体や学校の授業を見習い、教訓を得ればいいのではないだろうか。現状よりも向上しようとする人は、必ずそうやって改善をし続けているし、それこそが、真に子供のためになるのではないかと思う。

 また、子供がかわいそうとか、落ちこぼれが出てはいけないとか言うが、それこそ、教師が自ら教育の本義を忘れ去っているとしか思えない。成績によって気持ちが落ち込む子も当然いるだろう。しかし、それを励まし、勇気づけ、違う分野での夢を持たせるのも教師の役割ではないだろうか。いつも、子供たちには「夢を持つように」と言っているではないか。夢を持てない子供に「夢」を語ることこそが教育ではないのか。子供たちが大人になったとき、大人の社会では、競争での差がつくのは当たり前だし、その競争から逃げることなく、ぶつかっていく事を子供に教える事が教育ではないだろうか。

 マスコミにも、この件に関して珍しく正論を述べるところがあって、2007年の10月25日の読売新聞の社説は、

 懸念されるのは、「競争の激化」、「学校の序列化」の批判を恐れるあまり、多くの自治体が過剰なほど結果公表に慎重になっていることだ。

また東京新聞も同じく10月25日の社説で、

 公表範囲などは自治体に委ねられるが、学校単位のデータを非公表にするのはどうだろうか。通っている学校の状況は親や子にとって関心が高い。伏せたところで情報公開請求が出れば開示せざるを得なくなる。行政機関だけに情報が止まることは問題が多い。

 と述べていた。事実、私の市の保護者に聞いても、「公開すべきだと思う」と言う人が、私が知っている範囲でも何人もいらっしゃった。事実を受け止め前進するためにも、学校別の成績を大いに公開すべきと訴えたい。

 次に、現在の世界の知識についての流れを、産経新聞の正論欄に載った論文(2006/11/18)を基に掻い摘んでまとめると、

 現在、「情報についての革命的変化」が、私たちの想像を遙かに上回るスピードで進行中である。・・・

 グーグルは「地球上の情報すべてを整理し尽くす」という壮大なビジョンを掲げ、一気に巨大高収益企業に成長し、創業からわずか10年程度で、時価総額は十数兆円レベルに達し、IBMをも抜き去ってしまった。・・・


 まさに、ピータードラッカーが言った、「これからの社会は、知識が富を生む」そのものの企業であろう。

 ネット上に公開された世界中の膨大な情報は、365日24時間休むことなく稼働する数十万台のグーグルのコンピューターシステムの中に自動的に取り込まれ、整理され、検索エンジンとして無償提供されている。・・・

 また、地球全体の衛星写真、航空写真、地図、さまざまな地理情報を統合した「グーグル・アース」という無償サービスは、誰もが地球全体を俯瞰(ふかん)して眺めることが可能になった。・・・

 「グーグル・ブックサーチ」とは、グーグルがオックスフォード大学、ハーバード大学などの図書館と提携し、1800万冊にも及ぶ蔵書のすべてを電子化して解析し、人類の過去の英知をもみな検索可能にしてしまうプロジェクトだ。・・・

 我が国でも、慶応義塾図書館が日本の図書館としては初めて参画し、慶応義塾図書館の200万冊を超える蔵書のうち、著作権の保護期限切れとなった約12万冊がデジタル化されて検索と閲覧が可能となり、福沢諭吉の著作もWeb上で閲覧できるようになってきたし、著作権切れの書籍に関しては印刷やPDF形式でのダウンロードも可能。・・・

 自分専用の図書館が作れる「マイライブラリ機能」を使うことでマイライブラリ内の全ての蔵書に対して一括で全文検索をかけることが可能となる。

 また、

 グーグルは動画共有サイト「ユーチューブ」を約2000億円で買収し、過去から現在に至る世界中の映像情報をも整理する方向に意欲を示した。・・・

 時を同じくして、米カリフォルニア大学バークレー校は、同大学での講義映像を順次無償で一般公開していくと発表。提携相手はやはりグーグルだった。・・・

 つまり、今起きていることの本質は、情報そのもののあり方が劇的に変化しようとしていることだと理解すべきで、進行中なのは「情報技術の革命」ではなく「情報の革命」だということだ。・・・

 この方向に巨大事業の鉱脈が存在することがはっきりしたため、グーグル1社だけではなく多くの競争者が切磋琢磨しており、「情報革命」は米国を基点に激しいスピードで進展していく。・・・


 その他にも、各種大学の「デジタル・アーカイブ」には、これまでにはお目にかかれなかった、貴重な古書がデジタル化されて閲覧できるようになった。例えば、イギリス海兵隊の艦隊に随行して来日したJ・M・W・Silverが、1864年から1865年にかけてまとめた江戸時代当時の日本における冠婚葬祭や端午の節句、切腹、入浴、お墓参りなどなどを描いた『Sketches of Japanese manners and customs』という1867年にロンドンで出版された貴重書があるが、今でもAmazonではペーパーバック版が1万5000円もするというレベルの貴重書が、同志社大学の「貴重書デジタル・アーカイブ」にて公開されており、ネット経由で誰でも無料で全ページ閲覧できるようになっている。しかも、一般的によく知られている27枚の彩色画を収録した第1巻だけでなく、第5巻まで公開されている。
 
 これらの事から将来を想像してみると、子供たちが学び記憶すべき内容、身につけるべき能力はなんなのかが推測できよう。例えば、基礎知識を充実させながら、その知識を組み合わせて論理化する能力、断片的な情報から物事を俯瞰して理解し判断する能力、情報の真贋を判断する能力、情報の枝と幹を判別する能力、異質な情報を組み合わせて新しい価値を生み出す能力…。

 我が国では、「ゆとり教育」がうんぬんという議論が未だにあるが、現在進行中の真実に目を向ける必要がある。昨年12月に、15歳の生徒を対象とした経済協力開発機構(OECD)による第3回の学習到達度調査(PISA)の結果が発表されたが、テストと同時に行われた科学に関する意識調査では、科学を重要と答えた生徒が、我が国は57カ国中最低の57位だった。これは非常に問題である。

 温暖化問題にしても、今後は科学の技術で温暖化を乗り越える事になると思う。あれを止めようとか、これをやめようという次元ではなく、科学力によって温暖化を乗り越える事が必要となるだろう。

 文明の高さは数学で測られるというが、その数学があって科学も物理もあるわけで、その科学が重要ではないと認識しているという事は、文明としては衰退していくという事だ。

 現に、「もはや経済は一流とはいえない」と大臣が国会で言及したが、ゆとり教育を続け、少子化や、ワークバランスなどを考えると、経済は停滞することは確実であるが、それを乗り越えるためには、一人ひとりの質を向上させるしかない。

 そういう意味で、わが国に「勉強する事はいい事なのだ」という社会的コンセンサスが必要となってくる。学生時代は脳の力を鍛える時期であり、いわゆる受験勉強も頭脳訓練だと思えばいい。それによって鍛えた力が、「段取り能力」や「正確で緻密な作業をする能力」となり、「やってのける」という精神力となり、「集中力」を養うものになるのである。それらは社会に出てから仕事能力に変化するのだから、人生の基礎力を付けると思って努力する事は大事なのである。要は、「切磋琢磨して向上するのだ」ということを合言葉に、勉強というものを肯定的にとらえなおす必要があると思う。


まとめると、以下が肝要と言えよう。

1)先生も切磋琢磨する事
2)社会に出てからも挫けない精神力を持たせる事
3)知が核爆発した時代が始まった、「情報革命」が始まった事を認識する事
4)経済も知力が大いに関係するようになる事を認識する事
5)子供たちのために、人生の基礎段階において頭脳訓練を行い、様々な能力を磨いて、社会の役に立てる人間作りをしてあげる事。


 これらを踏まえて、次回の学力調査については、学校ごとの公表を要望したいと思う。


 
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